こんにちは。子どもに一生の思い出を作ってあげたい、そして育児も仕事も家事も遊びも楽しみたいママの体験記「minette」をご覧いただきありがとうございます。
今回この記事では、妊活を始めた28歳でバセドウ病を発症後、29歳で甲状腺全摘出手術を受け、30歳で妊娠するまでの経験をまとめてご紹介いたします。
特に手術のための入院期間内の様子は詳しくお伝えしていきたいと思います。
ご参考になれば幸いです。
バセドウ病とは
バセドウ病とは、喉仏の下にある甲状腺から分泌される甲状腺ホルモンが多く作られることで、新陳代謝が過剰になる病気です。
甲状腺ホルモンは、身体の代謝を促す重要なホルモンですが、過剰になると全身の臓器へ負担がかかり、症状としては下記の通りです。
甲状腺の腫大、頻脈、眼球突出が代表的。また、動悸・多汗・体重減少・疲労感・手の震え・息切れなどの症状があらわれ、甲状腺機能亢進症状と呼ばれます。
28歳で発症し投薬治療
緊急入院
結婚して2年半が経った頃に突然吐き気がしました。最近仕事で疲れているからかなぁなんて思っていましたが、妊活を始めて3、4ヶ月経っていたので「もしかして…!」と期待しました。
しかし日に日に「吐き気、嘔吐、動悸、37.5度前後の熱、倦怠感、頭痛、下痢、手の震え」という症状が出て体調が悪化。さらには遅れて生理も来ました。心配になり総合病院へ。最初の吐き気から既に1ヶ月が経っていました。
採血をして待っていると「すぐに大学病院へ行ってください」と言われ紹介状を頂きました。
大学病院に着いて計った心拍数は「 158 」(※通常は70~80)。甲状腺の数値は振り切れるほど悪く、大学病院で測定できる範囲を超えていました。歩くのも辛くなっており、緊急入院することに。
「バセドウ病」という診断を受け、10日間ほど入院しました。最初の3日間の移動は全て車いす。その後は、トイレとシャワーのみ徒歩で移動の許可が出ました。そして食事ができるようになり、数値は徐々に下がっていたので自宅療養に。仕事は退院後も2週間ほどお休みました。
発症時の年齢は28歳でした。結婚して2年半が経ち、妊活で焦っていたので、バセドウ病になってしまったことがショックでした。突然仕事を休むことも不安でした。
投薬治療
通院は月に一度。採血やエコーで甲状腺の状態を確認します。治療については、入院中から投薬治療を開始し、メルカゾールとヨウ化カリウムという薬を服用しました。入院中は水分も吐いてしまっていたので点滴で栄養と水分を補給し、動悸を抑える薬も併せて服用しました。
入院時から比べると下がった数値ですが、正常値に収まることはありませんでした。メルカゾールを減らすと数値が上がり過ぎてしまい、増やすと数値が下がり過ぎてしまい、コントロールできませんでした。発症から8ヶ月後に体調が急激に悪化して再び緊急入院しました。
発症時と比べると、甲状腺肥大や眼球突出の症状が進行していました。首を隠すようなデザインの服を選んでいました。眼球突出は、眼科に通いましたが改善されませんでした。見た目の変化も悲しかったです。
29歳で甲状腺全摘出手術を決意
二度目の緊急入院の退院後、妊活を意識してメルカゾールからチウラジールという薬に変更しました。発症から1年が経った頃です。
チウラジールはメルカゾールと比べて胎児に影響が少ないため、妊活をする場合はチウラジールの服用に変更し、甲状腺機能を正常にコントロールする必要があると担当医から説明を受けました。バセドウ病であってもチウラジールを服用し、数値が安定していれば妊娠は可能なので、担当医に相談しながら妊活を進めると安心かと思います。
しかしチウラジールを服用してから数値が再び上がってしまい、メルカゾールに戻しました。その後は、甲状腺ホルモンの数値がコントロールできず体調も不安定に。
そして担当医から「妊娠を望むなら摘出手術も考えてみませんか。」とアドバイスを受け、夫に相談。不安もありましたが、このまま投薬治療を続けていてもバセドウ病が治るか分からないと感じ、何より子どもが欲しいという気持ちが強かったので手術を決意しました。
甲状腺の全摘手術をすると一生、甲状腺のホルモン剤を服用しなければなりません。薬の服用は必須ですが、バセドウ病が再発することはありません。
手術を決めてからは夫とともに「もうすぐバセドウ病から解放されて体調も良くなってきっと妊娠もできる!」とポジティブな気持ちが大きかったです。
術前検査
通院していた大学病院では、甲状腺に関しては内分泌代謝内科という診療科でしたが、手術は耳鼻科で受けるため耳鼻科を受診。手術の説明を聞き、診察を受けました。
術前検査では、心電図・エコー・CT・レントゲン・血液検査・尿検査を行いました。
また、コロナ禍だったこともあり、入院の2日前にPCR検査を受けました。検査後は外出禁止と言われていたため、仕事はこの日からお休みしました。
9日間の入院
入院日(手術前日)
午前中に入院の手続きを行い、耳鼻科の診察を受け、夫と手術の説明を改めて聞きました。コロナ禍のため夫は帰宅。
コロナ禍で面会禁止だったので、夫には退院日まで会えませんでした。とても寂しかったです。
昼食後、口腔外科へ。全身麻酔の際に口の中に器具を入れるので、グラグラしている歯があると折れてしまう可能性があるとのこと。その後は、麻酔科の担当医から全身麻酔の説明を受けました。
術後はドレーン(首から排液を出す管)が抜けるまで入浴ができないため、できるだけ夕方にお風呂に入りました。
21時から絶食絶飲です。夜はあまり眠れませんでした。
入院日の首元の写真です。とても腫れていますね、、。
手術当日
当日は絶飲絶食です。朝の7時30分に手術着に着替え点滴をしました。看護師さんと楽しく会話しながら一緒に歩いて手術室へ。そして手術台で心電図など装着され、麻酔科の先生に『麻酔いれますね』と言われた3秒後には『手術無事に終わりましたよ』と肩に手をあてて言われました…さすが全身麻酔。
目が覚めたときの感想は、「喉の違和感酷すぎ、怠い、暑い、吐き気がひどい、痛い」です。喉の違和感や痛みは体験したことないくらいに風邪が悪化したときと表現するのが近いと思います。痰も酷いけど吐けないですし、うまく飲み込めませんでした。あと暑かったのですが、声がほとんど出なくて伝えるのが難しかったです。
その後は、ベッドに寝たまま病室へ戻りました。すぐに手術を担当してくださった耳鼻科の担当医が来て、鼻からカメラ入れて喉の動きを確認。時間はお昼前だったと思います。
術後は、点滴、酸素マスク、心電図、首の両側からドレーン、尿道カテーテル、人差し指に酸素を測る器具が付いていました。
夜9時まで酸素マスクが取れず動くのが一切禁止だったので、腰が痛くて崩壊するかと思いました。酸素マスクが取れてからは、起き上がることは禁止でしたが、夜中は少し横を向いたりできたので腰も楽になりました。 しかしほとんど眠れませんでした。個人差はあると思いますが、この日は朝まで辛かったです。
術後は翌日の朝まで1時間に2、3回ほど看護師さんが病室に来てくれました。
術後1日目
朝5時半頃に看護師さんに起き上がるのを手伝ってもらい、手術着からパジャマへ着替えました。その際に、尿道カテーテルと人差し指に付ける酸素測る器具も取ってくれました。歩行は病棟内のみ許可が出ました。
体調:微熱と怠さが少し。
喉の痛み:痛みの種類は風邪が強烈に悪化したときの感覚。体験したことの無い激痛でした。痰が大量に喉に溜まっているのですが痛みで出せませんでした。水を飲むときも違和感と痛みがあり、ストローで少しづつ飲もうとしてもほとんど口からこぼれました。
傷口の痛み:少し痛みを感じましたが特に気になりません。触診の際は痛かったです。起き上がる際は頭を手で支えています。これをしないと痛みと突っ張るような感覚になります。
食事:お粥でしたが、ほとんど食べられませんでした。
体に装着されているもの:点滴、ドレーン、心電図
声:ほとんど出ませんでした。
傷口の中はとける糸で縫ってあり、外はボンド的なもので付いているようで、抜糸は必要ありません。縫い目が無いため、痕になりにくいとのことです。手術を検討される方は担当医に相談してみると良いと思います。
耳鼻科の診察の際に、積極的に声を出してリハビリするように言われましたが、コロナの影響で面会禁止なので誰とも会話できませんでした。
術後2日目
劇的に良くなることはありませんが徐々に回復していることが分かりました。
毎朝、看護師さんが首のドレーンに繋がるパックを開けて排液を出します。この量が減らないと、ドレーンを外せないので早く減って欲しいと思いました。
体調:微熱と怠さが少しありましたが、前日よりも回復。自家移植した副甲状腺がまだ機能していないため、カルシウム不足で手の痺れが少しありました。
喉の痛み:風邪が悪化したときの感覚ですが、前日よりも回復。痰が酷く、常にティッシュに出してる状態です。
傷口の痛み:特に気になりません。触診の際は痛かったです。起き上がる際は頭を手で支えています。これをしないと痛みと突っ張るような感覚になります。
食事:お粥でした。7割ほど食べました。
体に装着されているもの:点滴、ドレーン
声:ほとんど出ませんでした。
術後3日目
土日も含めて毎朝、診察があるので安心でした。恐る恐る傷口の上部をそーっと触ってみました。男性でいうと喉仏あたりだと思います。自分の首じゃないような、例えると歯医者で麻酔のあとに唇を触ったような感じでした。
体調:怠さが少しありましたが、かなり安定してきました。手の痺れは、カルシウム剤を服用し改善。
喉の痛み:特に気になりません。痰は相変わらず大量に出ます。
傷口の痛み:特に気になりません。触診の際は痛かったです。起き上がる際は頭を手で支えています。これをしないと痛みと突っ張るような感覚になります。
食事:常食になりました。8割ほど食べました。
体に装着されているもの:ドレーン(排液量が減らないため)
声:少しずつ良くなってきていますが、この状態で仕事へ行ったらすぐ帰されるレベルです。
術後4日目
耳鼻科だけでなく、内分泌代謝内科の診察がありました。 バセドウ病の通院でいつもお世話になっている先生なので、首が細くなっている姿を見て喜んでいました。担当医に会えて、経過も良好で安心しました。
体調:怠さが少しありましたが、日に日に良くなっていることが嬉しかったです。
喉の痛み:特に気になりません。痰は大量に出ます。
傷口の痛み:特に気になりません。触診の際は痛かったです。起き上がる際は頭を手で支えています。これをしないと痛みと突っ張るような感覚になります。
食事:常食。完食しました。
体に装着されているもの:ドレーン(排液量が減らないため)
声:少しずつ良くなっていますが、先生たちも看護師さんも耳を傾けて聞いていました。
術後5日目
口腔外科に行き、麻酔の際に口に入れた器具で歯や口の中に問題が無いか診てもらいました。器具が当たっていたところが口内炎になっていたので薬を付けてもらいました。
耳鼻科の診察時に首のドレーンが抜けました。抜く際は何ともいえない違和感はありましたが、全く痛くありませんでした。抜いたところはテープで止めるだけです。ドレーンが取れたので、看護師さんがシャンプーしてくれました。そして下半身のみシャワーがOKとのことで、入院日振りのシャワー。この日までは、看護師さんが毎日おしぼり持ってきてくれて背中拭いてくれました。
体調:怠さが少しありましたが、前日よりも回復。
喉の痛み:特に気になりません。痰もかなり減りました。
傷口の痛み:特に気になりません。触診の際は痛かったです。起き上がる際は頭を手で支えています。これをしないと痛みと突っ張るような感覚になります。
食事:常食。完食しました。
体に装着されているもの:無し。
声:前日よりは回復しましたが、ガラガラで聞き取れないと思います。
術後6日目
お風呂は下半身のみシャワー、頭は看護師さんにシャンプーしてもらいました。
内分泌代謝内科の担当医からチラージンという甲状腺ホルモン剤の説明を受けました。術後7日目から飲み始め徐々に増やすとのことです。
体調:特に気になりません。
喉の痛み:特に気になりません。痰もかなり減りましたが違和感はまだ残っていました。
傷口の痛み:特に気になりません。触診の際は痛かったです。起き上がる際は頭を手で支えています。これをしないと痛みと突っ張るような感覚になります。
食事:常食。完食しました。
体に装着されているもの:無し。
声:前日よりは回復しましたが、ガラガラで聞き取れないと思います。
声は徐々に良くなっていますが、コンビニの店員さんに袋を欲しいと伝えたら『え?なんですか?』と何度も聞き返されました。日常生活に支障出るレベルでショック。
術後7日目(退院日)
耳鼻科の診察で初めて傷口のテープを剥がしました。透明のテープからマイクロポアという茶色いテープに貼り替えました。マイクロポアは毎日交換のため、お風呂入る際に剥がして直接洗って新しく貼るとのこと。
耳鼻科と内分泌代謝内科の次回の通院は退院の4日後です。それまでは首はあまり動かさないようにとのこと。起きるときに手で頭を支えるのはこれからも続きそうです。
傷口は紫外線が当たると痕になりやすいため気を付けるように言われました。
コロナ禍で面会禁止だったので夫に久しぶりに会いました!順調に回復して退院できて嬉しかったです。
入院期間中にあると便利だったもの
1.ティッシュ
大量に痰がでます。2箱持っていきました。
2.ストロー
術後は水を飲み込むのが辛いです。最初の一口は、ストロー使ってもむせました。ベッドで横になっている際に飲めるように、ペットボトルに装着できるタイプも持っていきました。100円ショップで売っています。
3.水のいらないシャンプー
ドレーンが抜けるまでシャワーができないので助かります。髪はロングだったのですが、短い方が良かったと思いました。
4.汗拭きシート
看護師さんが温かいおしぼりで体を拭いてくれますが、汗をかいて気持ち悪いときもあるのでスーッとするタイプを持っていきました。
5.コップ
健康なときは手で水をくんで歯磨きやうがいができますが、首を下に向けられないので重宝しました。
6.ブランケット
いつもと違う寝具なのが不安で、フワフワの大きなブランケットを持っていきました。タオルケットのような薄手でも良いかもしれません。
7.綿棒
喉の違和感からなのか、耳掃除がしたくなりました。
8.小さなバッグ
検査やコンビニへ行くときに、財布やスマホやハンカチが入る小さなバッグを持っていきました。
退院後の状態
退院後の体調
・甲状腺の数値が安定して心身ともに体調がとても良くなりました。
・甲状腺が肥大して首を圧迫していましたが、細くなり圧迫感も無くなりました。(現在は傷痕も綺麗になりました)
・日常生活に支障はありませんが、高い声が出なくなりました。
退院後の投薬
退院後に服用した薬についてです。
チラージンについては、25×1錠からスタートして徐々に増やしていきました。
□ 退院後~約1か月半
内科:チラージン、乳酸カルシウム「ケンエー」、アルファカルシドールカプセル
耳鼻科:メチコバール(声が出なかったため)
□ 約1ヶ月半~約8ヶ月
内科:チラージン、アスパラCA、アルファカルシドールカプセル(妊娠が分かったときに服用停止)
□ 約8ヶ月~現在
内科:チラージン
現在はチラージンを朝のみ125(50×2錠、25×1錠)服用しています。薬の量は、月に一度の通院の際に行う採血の甲状腺ホルモンの数値次第で多少の前後はあります。自家移植した副甲状腺が機能し始めて、カルシウム不足が解消されたため、アスパラCAという薬は飲まなくなりました。
傷痕について
退院直後は少し赤みがありましたが、日に日に良くなり半年ほどで気にならなくなりました。
妊娠・出産
2020年7月に手術をして、2020年9月に妊活の許可が出ました。甲状腺ホルモンが安定したため早くに妊活を開始することができました。しかし28歳でバセドウ病にかかり、手術後はすでに30歳になっていたため精神的な焦りが大きかったです。規則正しい生活や健康に気を付けた食生活を心掛け、妊活を意識した生活をするようにしました。甲状腺ホルモンが安定してからは体調がとても良く、ストレスを感じることが少なかったです。
そして、2020年の12月に妊娠し、2021年に女の子を出産しました。
妊娠が分かった際にすぐに甲状腺の通院先に電話をして、担当医に繋いでもらいました。アルファカルシドールカプセルという薬は服用を止めるように言われました。
まとめ
バセドウ病と診断されたのは2019年4月、手術は2020年7月に行いました。私の場合は数値が全く安定せず、さらに妊娠希望のため手術の決断に至りました。
振り返ってみると、手術をして良かったと心から思っています。
チラージンという甲状腺ホルモン剤を一生飲み続けますが負担とは感じません。通院は月に一度ほどです。採血があるので他の体調も確認してもらえて、むしろ有難いと思っています。
甲状腺ホルモンは多少の上下はありますが、その度に薬の量を調整をしてもらうので、正常値の範囲内に収まっています。
何より、今こうして健康に過ごせていることや、無事に出産をして育児ができることに、心から感謝しています。
コロナ禍での入院手術でしたので、支えてくれた夫や両親、職場、友人、そして医療従事者の皆さんには大変お世話になり感謝しています。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
※私個人の意見ですので、手術を推奨しているわけではありません。