今年は、3年に1度の「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ 2024」が夏から開催されます!
先に公開されている作品を見るために、家族3人で新潟県津南町の秘境秋山郷にある歴史ある木造小学校をリノベーションした「かたくりの宿」に宿泊しました。
大自然の中で思いっきり遊んで、アートに触れ、温泉で癒されて、懐かしさを感じるアットホームな空間でゆったり過ごすことができました。
そして地元の旬の食材で丁寧に作られたお料理は絶品!
「秘境の木造小学校に泊まれる」という他のホテルや旅館では味わえない貴重で特別な体験ができる、子どもも大人も夢中になれる魅力をレポートします。
大地の芸術祭を堪能するなら泊りがおすすめ!
かたくりの宿には、過去の大地の芸術祭で2度宿泊したことがあったのですが、娘が生まれてからは初めてです!
かたくりの宿から春の営業が始まったというお手紙が届き、宿泊を決めました。宿泊後にも手書きメッセージ入りのハガキが届き、とても嬉しく温かい気持ちになりました。必ずまた泊まりたいと思います。
今回宿泊したときには、ご夫婦、一人旅、子連れファミリーがいらっしゃいました。
子連れの方はもちろんですが、ファミリー、カップル、お友達、一人旅の方など、かたくりの宿に宿泊を考えてる全ての方に向けて写真多めのレポートになっています。ご参考になれば嬉しく思います。
かたくりの宿とは?
施設情報
新潟県津南町と長野県栄村にまたがる秘境、秋山郷にひっそりと佇む「秋山郷結東温泉 かたくりの宿」。
美しい自然と農村風景が残る秋山郷の小さな集落にあり、明治17(1884)年に結東校として開校し、平成4(1992)年に廃校となった小学校をリノベーションした全7部屋の宿です。
大自然の美しい景色、学校に泊まるワクワク感、身体の芯まで温まる温泉、旬の食材で丁寧に作られた美味しいお料理、体育館にある体験型の大地の芸術祭の作品「妻有双六」、そしてスタッフさんの心遣いと温かい対応、ここでしか味わえない体験が満載です。
結東校は、明治25(1892)年から43年もの間『義務教育免除地』に指定されていました。
その43年間、地域の方々は行政に対して義務教育の完全実施を懇願し続けながら、昭和7(1932)年に現在の宿が建つ場所に校舎を建てました。
そして地域の有識者を先生として立て、教育関係の費用は集落が負担し、教師の給与や食事や衣服も賄いながら、子どもたちへの教育を続けてきたという深い歴史があります。
昭和11(1936)年にようやく義務教育免除地指定解除を獲得し、分校化などを経て昭和61(1986)年に休校、平成4(1992)年に閉校となりました。
地域の人たちにとって大切な場所であり、地域の子どもたちをずっと見守ってきた学校だからこそ、校舎の再利用が強く望まれ「かたくりの宿」へと生まれ変わったとのことです。
かたくりの宿で感じる懐かしさに心惹かれてしまう理由は、痛みに耐えながら教育の礎を築き上げた集落の人たちの気持ちが詰まっているからだと思いました。
アクセス・駐車場
□旅館名
秋山郷結東温泉 かたくりの宿
□住所
〒949-8316
新潟県中魚沼郡津南町結東子450-1
□駐車場
有り(無料)
大地の芸術祭エリアの中でも秋山郷は最南端に位置しているため、他の作品と離れていますが、わざわざ訪れるだけの価値があります!
かたくりの宿の子連れ対応
スタッフの皆さんの優しくてアットホームな雰囲気が有難かったですし、不便なことは何もありませんでした。
スタッフの皆さんが娘に優しい言葉をかけてくださいました。2歳の娘もとても楽しんでいたので、小さな子どもも安心して宿泊できます。
そして何より、従来の旅館やホテルとは違った体験ができるのが嬉しいです!
かたくりの宿にチェックイン
津南の中心街から離れ、車でくねくねと山道を進んでいきます。
初めて訪れた際は、「こんな山奥に本当にあるの?!」と不安になりました。
そして「この先にどんな景色が見れるんだろう」という期待感も募ります。
地域の方々の思いが詰まった100年以上の歴史ある小学校に到着。
壮大な自然の中に突然現れる立派な木造小学校を目の当たりにして、別世界に飛び込んでしまったような不思議な感覚になりました。
木造校舎の外観は圧巻です。
厳しい冬の季節を乗り越えた秋山郷は、空気が綺麗で、山の深い緑が美しかったです。
あまりにも空気が澄んでいて、自然と深呼吸していました。
笑顔でお出迎えしてくださったスタッフの皆さんは、この土地の豊かな自然や歴史に魅せられ移住してきたそうです。
小学校の机と椅子を使い、チェックインのカードを記入しました。
アットホームな温かい空間ですが、学校だった頃の面影が感じられ懐かしい気持ちにもなりました。
いつも旅行の際に泊まっている旅館やホテルと違うので、子どもは「ここに泊まるの?」と目を輝かせていました。
かたくりの宿のお部屋
お部屋は、8.75畳(最大3名)2室、10畳(最大4名)3室、14畳(最大4名)2室の7部屋があり、すべて和室です。
お部屋の名前は「1組」「2組」…となっており、廊下から見ると教室の面影を感じます。
今回宿泊したお部屋は「1年6組」、14畳の和室です。
シンプルなつくりですが、落ち着いた雰囲気でゆったり過ごすことができました。
窓からは、秋山郷の美しい山々を見ることができ、お部屋にいるときは何度も窓の外を眺めました。
風に揺れる葉の音や、鳥のさえずりが聞こえて、お部屋でも自然を感じることができて癒されます。
写真にはありませんが、お洋服をかけられる収納もあります。
お着き菓子は、津南産の蕗の薹で作った「フキノトウヨウカン」。
ふきのとうの程よい苦みと香りが、甘さ控えめの餡にとても合います。
お部屋にあった津南かるたは、この地域のことを楽しく学ぶことができそうです。
お布団はセルフサービスですが、2歳の娘は布団を敷くのが楽しかったようで一生懸命お手伝いしてくれました。
□お部屋の設備・備品
テレビ、エアコン、暖房器具、ミニ冷蔵庫、懐中電灯、卓上鏡、ポット、お茶セット、羽毛布団、ドライヤー
□アメニティ
バスタオル、タオル、歯ブラシ、浴衣、丹前
※トイレ・洗面台は共用です。
トイレと洗面所は共用ですが、清潔感があり、不便はありませんでした。トイレには補助便座もありました。
大地の芸術祭の作品「妻有双六」
木造ならではの見応えのある立派な梁が見える構造になっており、建築としての魅力も再認識します。
インスタレーション作家の原倫太郎さんと画家の原游さんのアーティスト・ユニットによる体験型の作品「妻有双六」が体育館にあります。
学校に残されていた物を使いながら、大地の芸術祭と関係のあるコマやマスも登場するすごろくは、子どもから大人まで夢中になれます。
「クリスチャン・ボルタンスキーの最後の教室を体験したことがある人は2マス進む。」
「目をつぶって本棚から本を一冊選んで、47ページの3行目からの一文をみんなに聞こえるように読んでみよう。」
「ばったり会った村のおじいさんおばあさんに野菜をもらって嬉しい。3マス進む。」
このように大地の芸術祭にちなんだマスや、地域の暮らしや人が想像できるマスがあります。
2歳の娘は、カラフルでポップな色合いの作品に夢中でした。
自由にボールやオルガンでも遊んでいたので、小さな子どもも安心して遊ぶことができます。
チェックインした際に、この体育館が見えた娘は、一目散に向かって遊び始めました。
食事やお風呂の前後の時間も必ず体育館に寄って遊ぶほど、この空間が気に入ったようです。
すごろくを体験することで、大地の芸術祭を巡ることがより楽しみになりました。
2024年の大地の芸術祭では、原倫太郎さんと原游さんの新作が十日町エリアで公開されます!
かたくりの宿のお食事
夕食
かたくりの宿では、春は山菜、夏前は木の実、夏は地元の野菜、秋はキノコなどをふんだんに取り入れたメニューを頂くことができます。
食事は1階の食堂で頂きます。
山の恵みをたっぷり堪能できる前菜は、郷土料理だけでなく、珍しいアレンジがされているお料理が魅力的。
山菜は、雪国ならではの「木の芽」など、珍しい貴重なものが多くて驚きました。
そして郷土の保存調味料の「醤油の実」もアクセントに。
食材やメニューについては、スタッフさんが丁寧に説明してくださり、この地域ならではの食材について貴重なお話しを聞くことができました。
手作り蒟蒻は、柔らかくて優しい食感。
そしてチーズが入った茶碗蒸しは、子どもも喜ぶ味わいで自宅でも真似してみようと思いました。
夏は、津南で採れるとうもろこしを使用した茶碗蒸しを頂くことができます。
雪解け水をたっぷり含んだ土で育った津南のアスパラは、茎が太いにも関わらず、とても柔らかく瑞々しい!
山菜は全て香りが豊かで、自然が育む春の食材を食べることができて体も心も元気になれそうです。
下処理や保存方法は山菜によって異なるので、スタッフの皆さんが時間をかけて丹念に作られていることが分かります。
冷しゃぶは、きめ細かな柔らかい肉質で甘さを感じられます。(妻有ポークか津南ポークか忘れてしまいました。すみません。)
ご飯は、かたくりの宿の近くにある「石垣田」という石で積み上げた棚田でつくられたこしひかり。
炊き立てをおひつで用意してくださいました。
山から引いてきた水で作られた特別なこしひかりは、とても美味しくて、ついつい食べ過ぎてしまいます。
お味噌汁は、お出汁とお味噌の風味が豊かで、具沢山で美味しかったです。
かたくりの宿に宿泊して、初めて蕗の薹が甘みに合うことを知りました。
お料理担当されているスタッフの方が「蕗の薹は牛乳に合うと思い作りました」と仰っていましたが、本当に相性が良くて驚きました。
そしてメグスリの木を煎じたお茶を頂きました。
津南の中心街からかたくりの宿に向かう途中に目玉不動尊もあり、漢方のような感覚で飲まれているそうです。
全てのメニューが、新鮮な地元の食材を使用し、素材を活かす工夫が丁寧にされており、嬉しい驚きがたくさんありました。
美味しいのはもちろん、心まで優しく満たされました。
続いては、2歳の子どもの手作りハンバーグをメインにしたプレート!
薩摩芋やクリームチーズの和え物などは、大人と同じメニューです。
こごみは、アクや苦みが無いので、娘は山菜を食べることができて嬉しそうでした。
デザートは、牛乳寒天にハスカップのソースがかかっていました。
娘は、大喜びで美味しいと何度も言っていました!
娘のイヤイヤ期が心配で、最近の旅行の食事は、個室やお部屋で頂くことが多かったのですが、ここでは楽しく美味しく食べていました。子どもが楽しく過ごせていることが分かり嬉しかったです。
朝食
食事は夕食同様、1階の食堂で頂きます。
雪解け水をたっぷり含んだ土で育った津南の雪下人参は、夕食で頂いたアスパラと同様に肥沃な土と寒暖の差がある気候で栽培されており、食感が良く甘みと香りが豊かで美味しかったです。
ご飯は、石垣田産こしひかりの炊き立てをおひつで用意してくださいました。
蕗の薹味噌やえごま味噌は、ご飯との相性抜群です!
ここに足を運ぶからこその贅沢に、幸せを感じました。
娘もいつもよりたくさん食べていました!
身も心も喜ぶ栄養満点の朝食は嬉しいです。
コーヒー、紅茶のサービスがあり、お部屋でゆっくり頂きました。
夕食も朝食も、地元の旬の食材を贅沢に使って作られており、心も体も元気になりました。
丁寧に作られたお食事やスタッフさんの気遣いなど、心がこもったおもてなしに感謝です。
娘にも優しく声をかけてくださり、ありがとうございました。とても嬉しそうでした。
かたくりの宿の温泉
1階の廊下を進んでいくと「校長室」という看板があります。
かたくりの宿の温泉は、かつて校長室だったお部屋にあります。
小学生の女の子が「校長室が温泉になっているなんて面白いね!」とお母さんと話していました。
「結東温泉」という温泉を引いており、国内でわずか4%といわれる希少な泉質の「芒硝泉(ぼうしょうせん)」とのことです。
血管を拡張させて血液の流れを良くし、動脈硬化の予防に効果があると言われています。
シャンプー、コンディショナー、ボディソープ、洗顔フォーム、化粧落としの全てが無添加のものでした。
1階廊下には津南の美味しいお水が用意されています。
かたくりの宿の館内
入り口を入ってすぐのスペースについてご紹介します。
フロントがあり、チェックインやチェックアウトもここで行いました。
体育館、温泉、食堂に行く際に必ず通るスペースです。
「かたくりの宿」や「大地の芸術祭」に関連する書籍や資料が展示されています。
お土産コーナーもあります。
2021年に原倫太郎さんがこの辺りに残るマタギ文化をモチーフにした「秋山郷のマタギ展」の展示が残されています。
マタギに言い伝えられる独特な言葉が並んでいて、山や自然への信仰を感じました。
かたくりの宿の過ごし方・楽しみ方
早朝散歩(宿泊者限定、地元ガイドさんの案内で見倉橋へ!)
早朝散歩は、朝6時からガイドさんが「見倉橋」もしくは「結東の石垣田」を案内してくれます。
宿泊者限定、無料で参加できます。
朝の爽やかな空気の中で1時間ほど散歩をします。
この日は、見倉橋。
見倉橋は、結東集落と見倉集落を結ぶ木製の吊り橋です。
子ども達は、この橋を渡って小学校(現かたくりの宿)まで通っていたそうです。
橋から眺める中津川渓谷が美しいですね。
私と娘は参加しませんでしたが、夫は朝早く起きて参加しました。
ガイドさんからは、秋山郷の暮らしや自然について、さらに狩猟のお話しを聞くことができたそうです。
季節ごとに様々なプランがあり、夜の石垣田ナイトハイキングや、冬は「かんじき」を履いて見倉橋へ行く限定ツアーが行われたとのことです。
見倉橋は、かたくりの宿から徒歩15分ほど。
とても美しい景色を見ることができるので、早朝散歩に参加できなかった場合もおすすめです!
ここは西川美和監督の映画「ゆれる」が撮影された吊り橋です。
「ゆれる」が大好きで、過去にかたくりの宿に訪れた際には、見倉橋に行きました。
「ゆれる」は、幼馴染の女性の転落死をきっかけに、対照的な兄弟の心の奥底にある愛と憎しみが描かれた作品。
吊り橋のように揺れる複雑な感情や、人間の不安定な心情が丁寧に描かれており、橋も気持ちも何度もゆれる描写は、見ている自分自身の心まで揺さぶられる感覚になりました。おすすめの映画です。
校庭で過ごす
夫婦ともに童心にかえって思いっきりサッカーボールを蹴って遊びました。
娘も周りを気にせずボール遊びができることが嬉しそうでした!
ハンモックのレンタルを行っているので、校庭でハンモックに揺られながら読書したり、空を見上げたり、お喋りしたり、ゆっくり過ごすこともできます。
集落のお散歩
チェックアウト後にお散歩をしました。
素朴で美しい集落の景色は、絵本で見た昔話のような世界で、懐かしくて優しい気持ちになりました。
星空観察
晴れた日には、満天の星空を楽しむ事が出来るそうです!
宿泊した日は、残念ながら曇っていました。
次回訪問した際には、校庭に思いっきり寝転がって、図鑑で見た星座や流れ星を探したいです。
その他
秋山郷は、大自然を体感できるスポットがたくさんあるので、川遊び、トレッキング、登山、渓流釣りなど様々な楽しみ方があります。
大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ 2024
大地の芸術祭とは、過疎高齢化の進む日本有数の豪雪地・越後妻有(新潟県十日町市、津南町)を舞台に、2000年から始まった世界最大級の国際芸術祭です。
地域に隠れた魅力をアートを媒介として掘り起こし、地域再生を目指すことを目標としているこのイベントは、アートによる地域づくりの先進事例として国内外から注目を集めています。
豊かな四季が巡る自然豊かな里山で1年を通して作品を展示していますが、3年に1度トリエンナーレを開催しており、「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ 2024」が7月13日からスタートします。
□大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ 2024
2024年7月13日~11月10日
※火・水曜日定休(一部作品施設は通常営業)
10時00分~17時00分(10・11月は10時00分~16時00分)
※各作品によって公開日・公開時間が異なる場合あり
※詳細は、公式サイトをご確認ください。
開催期間以外でも、鉢&田島征三 絵本と木の実の美術館・越後妻有里山現代美術館MonET・まつだい「農舞台」・森の学校「キョロロ」などの主要施設や、屋外作品を楽しむことができます。
絵本の世界に入ったような不思議な体験ができる「鉢&田島征三 絵本と木の実の美術館」は子連れにおすすめです!
トリエンナーレの期間外でも楽しめる「子連れにおすすめ」の作品やスポットを5つご紹介しています!
かたくりの宿の宿泊予約
「秋山郷結東温泉 かたくりの宿」の予約は下記からできます。
□キャンプ
テントを張り泊まることもできます。道具の貸し出しはしていませんが、宿内のトイレ・洗面・温泉が利用でき、食堂でお食事を頂ける日もあります(食事別途要予約)。
□グランピング
グランピングの宿泊もあります。宿内のトイレ・洗面・温泉が利用でき、お食事はテントの中までスタッフが運んでくれます。
詳しくは予約サイトをご確認ください。
まとめ
新潟県津南町の秘境秋山郷にある歴史ある木造小学校をリノベーションした「かたくりの宿」では、大自然の美しい景色、学校に泊まるワクワク感、身体の芯まで温まる温泉、旬の食材で丁寧に作られた美味しいお料理、体育館にある体験型の大地の芸術祭の作品「妻有双六」、そしてスタッフさんの心遣いと温かい対応、全てが大満足で贅沢な時間を過ごすことができました。
2歳の娘は、体育館にある大地の芸術祭の作品を体験できたり、美味しいご飯をたくさん食べ、自然の中で思いっきり遊んで特別な経験ができて嬉しそうでした。
大地の芸術祭の本開催の時期や、秋の紅葉の際に再訪したいと思います。
スタッフの皆さんにも、またお会いしたいです!
最後まで読んでいただきありがとうございました。
「秋山郷結東温泉 かたくりの宿」の公式サイトは下記です。